10月18日付け//ご挨拶(挨拶のみ)
以前、俺の勤め先には『たき』と呼ばれるスタッフがいた。
返事はハキハキしてるし、なにやらよくわからない資格ももっていたので
社長が騙されて採用したわけだが、これが大変な転脳野郎だった。
通常では考えられないような間違いを、日常的にやらかすのである。
たとえば電話を受けた時だ。
(たき)『ら・ぱるかさん、佐藤さんからお電話です。』
俺は思う。「俺が担当してた仕事で佐藤さんっていたかなあ??」
(俺)『はい、お電話変わりました。』
(お客さん)『あ、どうも〜。○○の田中です。』
もう、電話終わったあとブチキレですよ。
(俺)『こおうぅるぁ、たきぃ! 誰だよ、佐藤ってよ! 田中さんじゃねえかよ!』
ここからが「たき」のすごい所である。
(たき)『あれっ? でも「佐藤」って言ったんですよお〜?』
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聞いた? ねえ、聞いた? 考えられないでしょ? このいいわけ。
みんな、電話する時に自分の名前間違う? ねえ、間違う?
(俺)『ふざけんなバカ! 自分の名前間違う奴がどこにいる!』
(たき)『でも・・・・』
(俺)『反省するか、泣くまでブン殴られるか、今すぐ選べ。』(青筋)
もう、万事がこの調子なんですよ。ほぼ毎日こういう間違いが起こるんですよ。
信じられません。これまでどうやって生きてきたのでしょう、この生物わ。
こういうのだけなら「ちょっと耳が悪い」くらいでまだ可愛げがあるが、
こいつがダメのは耳だけじゃなかった。
注意力・文章力も皆無だった。
たとえばテキスト入力だ。
最近では文字原稿が手書きというのは滅多にないだろう。大抵テキストファイルで渡される。
が、ワープロをうまく使えないオジサマで、手書き原稿の人も時々いる。
なぜかわからんが、こういう人にかぎって字が異常に汚い。
実際、誰が見ても読み取るのは非常に困難だ。
だが、普通に読解力があれば、前後の文脈や既知の事柄とあわせて判断できるものだ。
ところがだ、たきは本当に「見たまんま」入力してしまうのである。
「原信夫とシャープス&フラッツ」。
これをたきは
『原信夫とミャーズヌ&ワラッツ』と入力した。
ミャーズヌ!
ミャーズヌである。ワラッツもすごいが、やはりミャーズヌだ。
確かに、シとミは似てる。スとヌも似てる。字が汚いから判読はしがたい。
しかしなんだよ、ミャーズヌって!!
俺もこの人たちの事は知らんが、なんとなく「シャープスかな?」ってわかるって。
また同様に、あの有名ロックバンド「ポリス」も
『ポリヌ』と入力しやがった。
うわ! ポリヌ! ポリヌだよ!
なんかザイールの特殊な熱病みたいだぜ、おい!
じゃあ何か? ヴォーカルの名前は
『ヌティング』か? あ?
そもそも、俺と一つしか年違わないのに、ポリス知らないってのもすごいし。
まだまだ逸話はあるが、とにかくたきは凄い奴だった。
2年程前、景気低迷のあおりをくって退職していったのだが、
今思い返してみると結構笑えるし、もうすこし優しくしてやればよかったかとも思う。
もちろん、今健在でこういう間違いをやらかしたら、やっぱり叱るけどな。
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