試合の流れも終盤にさしかかろうというところ。 フレアーは相手選手をすいと抱え上げると 大きな動きでボディスラムをくり出した。 相手はそのままダウン。位置も計算ずくだ。 悠々とコーナーへ向かい着実に登りはじめる。 もう一息でトップロープまで登りきろうというところで チラと振り向いたフレアー。 その表情が驚愕で固まった。 なんと、相手選手は直前のボディスラムの受け身をとりそこね、 本当に半失神状態になっていたのだ。 『ヘイ!』 振り返って大声を発するフレアー。 しかし、相手はピクリとも動かない。 フレアーはコーナーに登りきることなく、のそのそと降り始めた。 大股で倒れている相手に近付くと 相手の頭を抱え起こし、なにやら早口でまくしたてながら 顔にナックルや張り手をみまう。 意識朦朧ながら、なんとか蘇生したのを見ると 改めてコーナーへ向かうフレアー。 登りながら様子を伺うと、なんとか立ち上がった相手が フレアーの方へフラフラと歩いてきている。 満足気にトップロープへ上り詰め振り返る。 ちょうどその時、相手もコーナーまでやってきた。 ところがだ。相手はデッドリードライブを仕掛ける事が できずにコーナーにもたれかかってしまう。 しびれを切らしたフレアーは、相手を無視して 自ら空中へと飛び出した。 回転しながら優雅な弧を描きつつ落下していくフレアー。 美しい。 そして計ったようにきっちり半回転すると芸術的な受け身。 バシ〜〜〜ン 会場に大音響が響き渡る。 すかさず、いかにも痛そうな表情で背中をおさえながら 悶絶するフレアー。 そして、いまだコーナーにもたれかかっている相手に対して アワアワポーズをとる。 |